こんにちは!沖縄県の行政書士竹倉事務所です。
この記事では定款変更が必要な場合、手続きとその流れと定款再作成の方法、原本証明について解説します。
定款変更とは?会社経営における重要性
定款は商号(会社名)、事業目的、本店所在地、役員構成など、会社の基本的な事項を定めるルールであり、会社法に基づいて作成されます。
しかし、ビジネス環境の変化や事業拡大に伴い、設立時に作成した定款が現状と合わなくなることがあります。
当事務所では、行政書士の立場からお客様の状況に合わせた最適な定款変更サポートを提供します。
こんなときに定款変更が必要です
1. 事業内容の追加・変更
新規事業への参入や業態変更により、定款の目的条項を追加・変更する必要が生じた場合、登記事項となるため適切な手続きが必要です。特に許認可事業を始める際には、業種に合わせた正確な記載が求められます。
2. 商号(会社名)の変更
企業イメージの刷新やM&A、事業転換などに伴い商号を変更する場合には、定款変更と登記申請が必要になります。
3. 本店所在地の変更
オフィス移転に伴い、定款に記載された本店所在地を変更する場合があります。
ただし、同一市区町村内での移転であれば、定款に市区町村までの記載のみの場合は定款変更不要です。
4. 役員構成や任期の変更
現行会社法では、会社の構成によっては取締役の任期を最長10年まで延長可能ですが、旧商法時代の定款ではこの選択肢が反映されていない場合があります。任期延長によって役員変更登記の頻度を減らすことでコスト削減が可能です。
5. 設立時定款の紛失
設立時の定款を紛失してしまった場合、許認可申請や金融機関への提出など、必要な場面で支障をきたします。
これを機に定款を刷新し、現状に即した内容に更新することも可能です。
定款変更手続きの流れ(例)
定款変更手続きは、一般的に以下のように進めていきます:
- 株主総会の招集・開催:定款変更には株主総会における特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。
- 議事録の作成:定款変更を承認した株主総会の議事録を作成します。
- 登記申請(必要な場合):商号、目的、本店所在地など登記事項に変更がある場合には、法務局への登記申請が必要です。
定款変更後には、次の2つの書類が「現行定款」となります
- 原始定款(設立時の定款)
- 変更内容を記載した株主総会議事録
この2つを一緒に管理することで、会社の「現行定款」となります。
現行定款の再作成(義務ではありません)
変更履歴が複数あり、定款の確認が煩雑になってきた場合は、現行定款を再作成することをお勧めします。
原始定款と議事録を保存しつつ最新の定款を作成することで、閲覧や金融機関への提出が容易になります。
1.現行定款再作成の方法
原始定款の内容に変更内容を反映させた新しい定款を作成します。
最終ページに以下の文言を記載し、会社実印で押印します。
以上、この定款は当会社の現行の定款に相違ありません。
令和〇年〇月〇日
東京都〇〇区〇〇 X-X-X
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 印
これは、定款の本文(条文)をすべて記載し終えた直後に置く→ 「定款本文の最終行」扱い
変更履歴を記載する
(例)
(変更履歴)
令和3年6月30日 第1回定時株主総会において第○条を変更
令和4年7月1日 臨時株主総会において第○条および第○条を変更
令和6年4月15日 第○回定時株主総会において第○条を追加・削除
【定款変更履歴】
令和5年6月1日 第1条変更(商号変更)
令和6年4月15日 第2条変更(目的追加)
令和6年5月10日 第3条変更(公告方法の変更)
変更の正当性・有効性は、株主総会議事録や登記で証明できるので、複数の決議機関(例:取締役会と株主総会)が関与するような複雑な会社でなければ「日付・条文番号・変更概要」だけでも、いつ何が変更されたかがわかれば通用します。
これは、宣言文の次に改ページせずそのまま、あるいは空行を挟んで記載します。→ 「別表的な位置づけ」として、最終ページの末尾に配置するのが定番です。
2.原本証明の方法
定款の写しを提出する場合の原本証明方法
- 定款全ページをコピーします
- 左側を数か所ホチキスで綴じます
- 全ての綴じ目に会社代表者印で契印します
- 最終ページに原本証明文言を記載し、押印します
上記は当会社の現行定款の原本と相違ありません。 令和〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 印
3.使い分けまとめ
用途 | 表現①(現行定款の宣言) | 表現②(原本証明) | 備考 |
---|---|---|---|
社内保管・管理用 | ◎ 必須 | ✕ 不要 | 代表印押印 |
一般の提出(参考用) | ◎ あってよい | △ 原則不要 | 条件付きで求められる |
金融機関・官公署提出 | △ あってもよい | ◎ 必須 | 代表印+日付+割印(複数枚) |
現行定款として保管する場合は、「現行定款である旨の記載+代表者押印付き原本」を1通作成しておくのが理想です。
「原本証明」は、必要なときだけその都度コピーに証明文をつけて提出すれば足ります(定款原本に書く必要なし)。
4.電子定款の場合における変更後の管理
電子定款とは、紙ではなく電子データ(PDF形式)で作成された定款です。設立時に電子定款を作成した場合、その原本は電子データそのものとなります。
電子定款の場合も、変更内容を記載した株主総会議事録を保管します。
複数回の変更がある場合は、現行定款を再作成することを推奨します。再作成した現行定款は新たに保存し、印刷版も作成します。
5.電子定款の原本証明方法
電子定款の原本として扱われるのはデータ自体ですが、提出が必要な場合は以下の方法で対応します。
- 電子定款のPDFをプリントアウトします
- 左側を2か所ほどホチキスで留めます
- 全ての綴じ目に会社の代表者印で契印します
- 最終ページに以下の文言を記載し、押印します(一部の金融機関では、朱書きでの記載を推奨している場合があります)
以上、電子定款の原本と相違ありません。 令和〇年〇月〇日 東京都〇〇区〇〇 X-X-X 株式会社〇〇〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 印
行政書士としての支援内容
当事務所では、行政書士として定款変更に関する以下のサービスを提供しています:
1. 定款変更内容の提案・作成
- 現行法に則った適切な定款変更案の作成
- 会社の実情に合わせた提案
- 将来の事業展開を見据えた記載内容のアドバイス
2. 株主総会関連書類の作成
- 株主総会招集通知の作成
- 特別決議に必要な議案書の作成
- 株主総会議事録の作成
3. 変更後の定款管理
- 変更後の定款の製本・整備
- 電子データでの提供
- 必要に応じた写しの作成
4. 登記申請(当事務所では手続き不可)
登記が必要な定款変更の場合、必要があれば司法書士事務所をご紹介します。
司法書士しかできない業務
- 登記申請手続き
- 法務局への書類提出
- 登記内容の確認・補正
定款変更に関する費用相場
定款変更に関わる費用は主に以下の項目で構成されます:
1. 当事務所の行政書士報酬
定款変更案の作成+株主総会議事録等の書類作成 33,000円~
2. 登記関連費用(登記が必要な場合)
- 登録免許税:3万円~(変更内容によって異なる)
- 司法書士報酬:4万円程度(一般的な相場)
実際の費用は定款変更の内容や会社の規模によって異なります。当事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングした上で、明確なお見積りを提示いたします。
よくある質問
Q:定款変更は自分でもできますか?
A:定款変更自体は自分でも可能ですが、ある程度の知識が必要です。特に登記を伴う変更は専門的な知識が求められるため、行政書士・司法書士への相談をおすすめします。
Q:古い定款を使い続けるとどんな問題がありますか?
A:平成18年の会社法改正により、会社運営の選択肢が大きく広がりましたが、旧法に基づく定款では現行法のメリットを活かせない場合があります。また、実際の会社運営と定款の内容に不一致が生じると、株主総会決議の有効性に疑義が生じたり、許認可申請や融資審査で支障をきたしたりする恐れがあります。
Q:定款変更と登記変更の違いは何ですか?
A:定款変更は会社の基本ルールの変更であり、株主総会の特別決議により行います。一方、登記変更は法務局に届け出て公示する手続きです。定款変更の内容が登記事項(商号、目的、本店所在地など)に関わる場合は、定款変更後に登記変更も必要になります。
まとめ
定款変更は会社の基盤となるルールの更新作業であり、適切に行うことで会社運営の安定と将来の発展に寄与します。
当事務所では、お客様の状況に合わせた定款変更サポートをしております。
まずはお気軽にご相談ください。