はじめに
沖縄県の行政書士竹倉事務所です。
キャバクラ、ラウンジなどの営業を沖縄で始めるためには、風俗営業許可が必要です。
この記事では、風俗営業許可申請の手続きの流れ、要件などを解説します。
風俗営業とは?
風俗営業の分類
風俗営業は主に1〜5号営業に分類されており、キャバクラ、ラウンジなどは1号営業に該当します。
区分 | 特徴 |
---|---|
1号営業 | キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業 |
性風俗特殊営業との違い
風俗営業(1〜5号営業)と混同されやすいのが「性風俗特殊営業」(ソープランド、デリヘル等)です。性風俗特殊営業は法的に別区分となっています。自身の業態がどちらに該当するかを誤ると、無許可営業や違法営業となる可能性があります。
風俗営業許可申請の流れ
風俗営業許可申請の流れは、以下の5つのステップに分けられます。
ステップ1:事前準備
風俗営業許可の申請前に、営業する店舗や申請者自身が要件を満たしていることを確認する必要があります。
主な確認事項
- 営業所が用途地域や保全対象施設からの保全距離を満たしているか
- 申請者に欠格事由(禁錮刑、風俗関連の処分歴等)がないか
- 店舗の構造が風営法に適合しているか(照度、見通しの確保、面積など)
また、物件の賃貸借契約書の名義や、事務所の場所も確認が必要です。まだ物件を決めていない場合は不動産選びの段階から専門家に相談することをおすすめします。
ステップ2:申請書類の作成
申請に必要な書類は以下の通りです。(沖縄県那覇警察署の場合を例示)
- 風俗営業許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- メニュー表(料金表)
- 営業所周辺の見取図(ゼンリン地図を使用する場合、複製許諾証が必要)
- 店舗の配置図(レイアウト、家具の寸法など)
- 求積図(寸法、全体の床面積と客室の床面積を表す図面)
- 店舗の照明設備図
- 店舗の音響設備図
- 店舗の防音設備図
- 本籍地記載・マイナンバー記載なしの住民票(申請者・管理者)
- 賃貸借契約書の写し
- 使用承諾書(店舗所有者に記載してもらう)
- 建物登記事項証明書
- 用途地域証明(営業所のある役場にて取得)
- 建築基準法に適合した建築物であることの疎明書類(建築計画概要書を市町村役場の建築指導課で取得)
- 飲食店営業許可証の写し
- 身分証明書(申請者・管理者※本籍地のある市区町村で取得。運転免許証ではありません)
- 誓約書(申請者用1枚、管理者用2枚)
- 納付書(沖縄県証紙貼付¥24,000)
- 顔写真2枚(申請者・管理者)
法人で申請する場合の追加書類
- 定款の写し
- 履歴事項証明書
- 役員全員分の本籍地記載の住民票、身分証明書、誓約書
上記以外にも必要に応じて書類を添付する場合があります。また、複数店舗を出店する際には管理者は兼任できません。
ステップ3:警察署への申請
必要書類が揃ったら、営業所を管轄する警察署の生活安全課へ提出します。事前に生活安全課風俗営業担当(担当者を確認)に電話連絡を入れ、いつ頃申請に行きたいかを伝えます。
申請時には、窓口で簡単なヒアリングを受けることもあります。その後、審査が行われ、問題がなければ次のステップに進みます。
ステップ4:現地調査
所轄の担当官又は浄化協会から検査の日時の連絡が入り、担当官による現地確認が行われます。この調査では、申請内容と実際の店舗構造が一致しているか、法令違反がないかが確認されます。照度や通路幅、遮蔽の有無なども厳しくチェックされますので、図面通りに施工されているかの確認が必要です。
ステップ5:許可証の受領
全ての審査を通過すると、申請日より約55日程度(土日休日を含まない)、平均1カ月半~2カ月程度で風俗営業許可が下ります。許可証を受領したら、営業所内の見える場所に掲示する義務があります。
また、風俗営業を開始する際には、原則として「防火対象物使用開始届出書」を所轄の消防署に提出する必要があります。
風俗営業許可の主な要件
1. 場所的要件(営業できる場所の制限)
都道府県ごとの公安委員会規則・条例によって異なります。
事前に管轄の警察署(生活安全課)に相談することをおすすめします。
沖縄県で風俗営業が許可されるのは、主に以下の用途地域(公安委員会規則で定める地域を除く)です。
- 工業専用地域
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
下記の地域に該当する場合は許可を受けることができません
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層専用地域
- 第二種中高層専用地域
- 第一種住居地域及び第二種住居地域または準住居地域(公安委員会規則で定める地域を確認)
また、申請する場所が下記の保全対象施設から一定以上離れている必要があります。
- 学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校など)
- 児童福祉施設(認定保育所・幼保連携型認定こども園など)
- 病院
- 診療所(患者を入院させるための施設を有しないものを除く)
- 図書館
営業を行うには、上記の保全対象施設から商業地域の場合は50メートル、近隣商業地域などその他の地域は100メートル離れている必要があります。
2. 人的要件(申請者に求められる条件)
申請者(法人の場合は役員)・又は管理者が下記のいずれかに該当する場合は許可を受けることができません。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
- 1年以上の懲役若しくは禁固の刑に処せられた者(欠格期間は5年)
- 無許可風俗営業、公然わいせつ、賭博、管理売春、児童淫行等の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられた者(欠格期間は5年)
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過しないもの
- 暴力団構成員、アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
- 取消処分の前に許可証を返納した一定の者で返納の日から起算して5年を経過しない者(欠格期間は5年)
- 申請者、選任する管理者が営業能力のない未成年者
申請前に必ず本籍地のある市区町村で「身分証明書」を取得し、欠格事由の有無を確認しましょう。また、管理者を立てる場合はその人物も同様の確認が必要です。
3. 構造的要件(店舗の構造に関する条件)
風俗営業許可の構造的要件は、1~5号営業及び特定遊興飲食店営業で基準が違います。以下は、風俗営業1号許可の構造的要件の例です。
- 客室の面積は、2室以上の場合は1室16.5㎡以上とする(1室の場合は床面積の制限はありません)
- 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること
- 客室の内部に見通しを妨げる1m以上の設備を設けないこと
- 風俗を害するおそれのある写真・広告物・装飾等の設備を設けないこと
- 営業施設内の照度が5ルクス以上であること
- 調光設備(スライダックス)が設置されていないこと
- 騒音又は振動の数値が条例で定める数値以下であること
沖縄県の一部の地域のルール
沖縄県では、一部の地域で営業時間の延長が認められています。
風俗営業は、原則として深夜0時~午前6時の間は営業ができませんが、沖縄県では、那覇市松山1丁目・松山2丁目・沖縄市上地1丁目、上地2丁目の一部地域は、午前1時までの営業が可能です。ただし、条例は改正される可能性もありますので、最新の情報を確認する必要があります。
また、旧盆(旧暦7月14日から同月16日までの日)、年末・年始(12月21日から翌年1月3日までの日)は沖縄県の全域、その他公安委員会が定める日公安委員会が指定する地域も同様に午前1時までの営業が可能です。
申請時の注意点
1. 事前調査の重要性
店舗の立地や建物の用途が風俗営業に適しているか、事前に調査することが重要です。物件契約前に、用途地域や保全対象施設からの距離を確認しましょう。
2. 飲食店営業許可の取得
風俗営業許可(接待飲食店)を申請するためには、事前に飲食店営業許可の取得が必要です。申請前に、飲食店営業許可を先に取得しておきましょう。
3. 図面作成の注意点
申請に必要な図面(平面図、照明設備図など)は、正確性が求められ、特にCADソフトを使って適切に作成する必要があります。図面と実際の店舗構造が一致していることも重要です。
4. 書類の有効期限
住民票や身分証明書などの書類は、発行から3か月以内のものが求められます。
5. 申請後の現地調査
申請後の現地調査では、書類通りに施工されているかが厳しくチェックされます。照明の照度や遮蔽物の有無なども確認されるため、申請図面と実際の構造が一致していることを確認しましょう。
お問い合わせください
風俗営業許可の取得には、多くの準備が必要です。特に図面作成や法令確認においてミスがあると、不許可や再提出になることもあります。
当事務所では風俗営業を始めようと考えている方がスムーズに営業を開始するためのサポートをしております。
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