この記事では、沖縄県で「デリヘル」や「アダルトグッズ通販」などの【無店舗型性風俗特殊営業】を始める際に知っておくべき法律や手続き、注意点について解説します。
1.無店舗型性風俗特殊営業とは?
「無店舗型性風俗特殊営業」とは、お店を構えず、お客様の依頼を受けてスタッフを派遣したり、アダルト商品を配達したりする営業形態のことを指します。いわゆる「デリヘル」や「アダルトグッズの通信販売」がこれに該当します。
この営業は「許可制」ではなく、「届出制」です。つまり、営業を始めるには、沖縄県公安委員会に事前に届出をする必要があります。
2.営業の種類(風営法での分類)
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)では、無店舗型性風俗特殊営業は以下の2種類に分けられています。
第1号営業(例:デリヘル)
→ ホテルや自宅などにスタッフ(キャスト)を派遣して、利用者の性的好奇心に応じて、スタッフが接触サービスを提供する営業(派遣型)。
第2号営業(例:性的好奇心を刺激する形でのアダルトグッズの訪問販売や出張販売など)
→「性的好奇心をそそるような方法により」が要件のため一般的な通信販売(ECサイトなど)は対象外となる場合もありますが、営業方法によっては届出が必要となる可能性があるため、事前に確認が必要です。
3.沖縄県の地域規制について
広告・宣伝の制限
沖縄県の条例では、広告や宣伝ができる地域が限られています。
- 第1号営業(デリヘル等)
→ 沖縄県の条例により、実質的に県内の多くの地域で広告が制限されており、表示できる場所や手段が限定されます。 - 第2号営業(アダルトグッズ通販)
→ 一部の商業地域を除き、広告が制限されます。
受付所に関する制限
- 顧客対応などを行う受付所は、条例で定められた地域には設置できません。
- 受付所を設ける場合は、午前0時~午前6時の営業は禁止です。
※なお、「待機所(スタッフが待機する場所)」は地域制限の対象ではなく、どの地域にも設置可能です。
4. 開業するには?(必要な物件・書類・手続き)
事務所について
営業届を出すには、事務所の確保が必須です。ワンルームマンションでも可能ですが、実務上はハードルが高く、次の点に注意が必要です。
レンタルオフィスの事務所利用については、念のため、事前に警察署に確認してから契約するのがおすすめです。
- 使用権限の証明:賃貸の場合、大家さんから「性風俗営業で使ってよい」と明記された承諾書が必要です。
- 管理規約の確認:マンションなどの管理規約で「事業用途禁止」になっていないか確認しましょう。
待機所について
- キャストが待機する場所です。
- 設置は任意ですが、設ける場合は同様に使用承諾書が必要です。
- 地域制限はありませんので、比較的確保しやすいです。
届出に必要な書類(主なもの)
沖縄県公安委員会への届出には以下の書類が必要です。
- 営業開始届出書(沖縄県警のウェブサイトで入手)
- 営業の方法を記した書類
- 誓約書
- 事務所の平面図
- 事務所の周囲の略図
- 事務所の使用権原を証明する書類(賃貸契約書、使用承諾書、登記事項証明書など)
- 個人の場合:住民票の写し
- 法人の場合:定款(事業目的に「無店舗型性風俗特殊営業」が必要)、登記事項証明書、役員全員の住民票の写し
- その他状況によって求められる可能性のある書類(ドメイン・電話の契約書など)
受付所を設ける場合
- 受付所の平面図
- 受付所の周囲の略図
- 受付所の使用権原を証明する書類
待機所を設ける場合
- 待機所の平面図
- 待機所の周囲の略図
- 待機所の使用権原を証明する書類
5.営業中に守るべきルール
従業者名簿の作成・管理
事務所には、働くスタッフ全員の以下の情報を記載した従業者名簿を備え付けなければなりません。
- 住所
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 採用年月日
- 退職年月日
- 従事する業務の内容
年齢確認の義務
18歳未満の方をスタッフとして働かせることは法律で禁止されています。
雇用時には、免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの写真付きの公的身分証明書により厳格に年齢確認を行う必要があります。
また、外国籍の方の場合は在留資格の確認も求められます。
届出事項の変更・廃止手続き
営業をやめる場合 → 廃止届
内容に変更があった場合 → 変更届
(例:事務所の移転、法人役員の変更など)
※ 変更届は、変更後10日以内に提出しなければなりません
6.行政書士ができるサポート
当事務所では、無店舗型性風俗特殊営業の開業に関して、次のようなサポートを行っています。
- 事前相談と要件確認 営業形態に応じた法的要件の説明や地域制限など沖縄県の条例に基づく規制の確認
- 物件選定のアドバイス・サポート 事務所や待機所に適した物件探しや物件所有者への事業説明のサポート
- 届出書類の作成と提出代行 必要書類の収集と沖縄県公安委員会への届出書類の作成・手続き代行
- 営業開始後のサポート 従業者名簿の作成と管理方法の指導、変更届・廃止届の作成と提出
7.開業前に注意したいポイント
物件選びが最大のハードル
風俗関連事業に対して、物件の貸主が難色を示すケースも多く、用途を正直に伝えたうえで同意を得ることが大切です。
行政書士が事前に説明のサポートを行うこともできます。
届出なしの営業は違法
「届出制だから大丈夫」と思って無届で始めてしまうと、懲役や罰金に処されるおそれがあります。
しっかりと手続きを踏んでから営業を始めましょう。
広告・宣伝にもルールあり
沖縄県では、広告・宣伝が厳しく制限されています。
違反した場合には指導・処分の対象になるため、事前に条例の内容をよく確認し、必要があれば行政書士に相談してください。
8. まとめ
無店舗型性風俗特殊営業は、法律に基づいた正しい手続きを踏めば、適法に営業できるビジネスです。
しかし、開業の届出をするには法律・沖縄県条例による制限、物件要件など、わかりにくい注意点が多くあります。
また、物件の確保や使用承諾が大きな障壁となる場合が多いため、早い段階から計画的に開業準備を進めることをお勧めします。
当事務所は、不動産関連会社と同じ物件に事務所を構えており、物件探しのサポート、事前の相談、届出の代行、営業後の管理指導まで、一貫してサポートさせていただきます。
沖縄県でデリヘルの開業などお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。